マインドフルネスと役者

注意)役者もタイプが色々なので、あくまで私の個人的な感覚です。

先日、脳科学の観点からみた、瞑想、マインドフルネスの研究をされている方のワークショップに参加することができました。改めて、役者ってマインドフルネス実践者だなぁという事を実感したので、ちょっと自分自身へのメモがてら、まとめました。

実は、役者って養成所に行くと、必ずと言って良いほどメディテーション(瞑想)をします。目的は、舞台でアガらないための集中力や、客観的な目を養うためだったり、自分の中のブロックを外すためだったり(これは、結構すさまじいです。ちょっと危険。面白いこともある)。

マインドフルネスしまくり?

マインドフルネスのレーズンエクササイズで、思い出したのが・・・やはり養成所やワークショップなどで、無対象で芝居をする、感覚を再現するという練習をします。「コーヒーを飲む」「梅干しを食べる」「レモンを食べる」「甘い飴を食べる」「寒い」「暑い」などなどを誇張せず、リアルに再現する。という事をします。ひたすらコーヒーカップの手触り、持ち手の形状、重さ、温度、中のコーヒーの揺れ、香り、カップの口触り、厚み、コーヒーの温度、味、口の中の感覚、飲み込む感覚などなど、ただ感じるだけではなく、覚え込みます。で、それを何もない状態で自分の肉体のみで表現しますが、その時自分の体には実際に飲んだ時の感覚も呼び起こしてきます。表情に出るからです。コーヒーの香りを感じた時のホッとする感覚も追体験します。個人的に面白かったのは、梅干しとレモン。稽古で先生が、みんなをぶらぶら歩かせて、「口の中に梅干し入れて」とか「あまーい飴」とかあらかじめ課題で出していたもの(みんな家で梅干しやレモンを食べまくる(笑))をランダムで言っていきます。レモンの後に飴と言われるとホッとします。実際には食べてないのに!そして、同じ「すっぱい」と表現される梅干しとレモンですが、口の中の感覚、唾液の出てき方とか違うんです(あくまで私の場合です。レモン苦手なんで)。なので、梅干しの次にレモンって言われると体の反応も変わります。しつこいですが、実際には食べてなくて、覚えた感覚を思い出して再現してるだけです。

舞台って食卓のシーンなんかでは、食器はあるけど中身は入ってない状態で芝居する事がよくあります。ので、味噌汁の具は何にする?とか共演者と相談したり、稽古の時に実物を作って食べてみたり、お酒なんかも、舞台では飲めないですから、稽古で飲んでみたりすることもあります。それを舞台で再現するわけです。

と、いうことで。。。知らなかったけど、目的が違うけど、私、随分前からむっちゃマインドフルネス実践してました!!(笑)

で、役者はこれを気持ち、感情に広げていくわけです。

ここからは役者のタイプによってかなり違ってくるかなぁと思う部分ですが・・・ものを食べたりする時同様に悲しい時、腹が立つ時、イライラ、うつうつ、いろんな感情が起こっている時の身体に出る症状を舞台で再現するわけです。登場人物の気持ちだけムッチャ作れても、表面に出てないと観ている人には伝わらない、特に舞台は表情も見えづらいので体全体で表現しないと伝わりません。言ってみれば「感情の見える化」。(なんかうまいこと言った私!)逆に言えば、登場人物の気持ちになってなくても、体全体でその気持ちの時の身体が再現できていれば、お客さんには伝わる、という事です。(結局役者は梅干し食べたのを追体験するのと同じで、感情も追体験します。個人差あるかもですが)

「筋肉は記憶装置」って聞いた事ないでしょうか? 事故など怖い思いをしたあと、それを思い出すと、辛い気持ちが蘇るだけでなく、体がその時と同じ状態、硬直して動けなくなったり、震えたり、呼吸が浅くなったりと、筋肉が反応します。

役者は、時にこれを逆に使います。

わかりやすいのは、胸張って、大きい艶のある声で「俺、最近落ち込んでんだよ」って言われても落ち込んでるように見えないですよね。

それと、体の症状から感情を呼び起こす。という方法も使います。もちろん登場人物のその時の状況や気持ちも合わせて使いますよ!「泣く」とかなんかとてもわかりやすいでしょうか。泣く芝居の時に「悲しい事を思い出す」とか、よく言われてますが、泣くのをちょっと我慢している時の体にすると、泣けるのはもちろん気分も悲しくなります。私の場合は、喉のある部分、をグッとしめて、息を止め気味にします。口の中、鼻の奥もポイントかなぁ。鳩尾の辺とかも。鼻の奥がツンとして涙が出てきます。そして、わけもなく悲しい気分になりますから、そこに登場人物の状況が加わると一段と悲しくなって、どんどん泣いちゃうわけです。私の場合映画女優さんがやるような綺麗な顔したまま泣く事が出来ません(笑)具体的なことは人によって違うので、気にしないで下さい。言いたいのは、「肉体の状態から感情が呼び起こされる」ことがある。ということです。

呼吸もとても情緒に関わっていて、以前重た〜い役をやった時、わざと呼吸を浅くしていました。そうすると声もふりしぼるような感じになるし、ストレスフルに見えるし、役の感情に入りやすかったのです。いつの間にか、稽古場以外でもその役の事考えると呼吸が浅くなってました。日が経つにつれて、私自身が情緒不安定になってきて、慌てて演じる時以外は呼吸を浅くしないように気をつけました。

もちろん十人十色です

ここまで、あくまで私の場合、ですので、役者がみんなこうだとは思いません。巫女系の役者がどう感じてるか私にはわかりません。私の場合、ダンスとか体を使うのが好きなのでこんな風なのかもしれません。感情を引き出す方が容易い人もいると思います。

役者のマインドフルネスは、目的が違うので、マインドフルネスって言って良いものなのか、わかりませんが。演劇は人間の感情と体を使う作業ですので、どうしても自分と向き合うことが多いです。演劇を使ったセラピーがあるのも頷けます。

ただ経験を書き連ねただけで、だから何と言うことはないのですが、他人の経験って聞いてみるとすごく新鮮だったり、発見があったりするものだと思うので、ここに書きとめておきます。また、講師の方が瞑想は一人セラピー的なお話をされていたので、役者の経験から自分と向き合うこと(もちろん私の場合)についても時間を作って書きたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください